1. ダートコースってどんな場所?芝との違いを知ろう
競馬場には芝コースとダートコースがありますが、その違いをご存知ですか?
ダートコースは文字通り「砂」の上を走るコースで、芝コースとはまったく異なる特性を持っています。初めて競馬を見る方は「なぜ砂の上を走るの?」と疑問に思うかもしれませんね。
実は、ダートコースには芝コースにはない魅力と、馬券的にも重要な特徴があるんです。ここでは、ダートコースの基本的な特徴から、芝との決定的な違い、そしてなぜダートレースが存在するのかまで、わかりやすく解説していきます。
1-1. ダートコースの基本的な特徴
ダートコースとは、簡単に言えば「砂のコース」です。正確には「Dirt(泥・土)」という英語が語源なのですが、日本のダートコースは実際には「砂」が主体になっているんですよ。
最も特徴的なのは、その「重さ」です。芝コースを走る時と比べて、馬の脚が砂に沈み込むため、より大きなパワーが必要になります。人間でも砂場を走るとすごく疲れますよね?それと同じで、馬にとってもダートは芝より負担の大きいコースなんです。
見た目にも違いがあります。ダートコースは茶色や灰色がかった色をしていて、レース中には砂が舞い上がる「キックバック」という現象が見られます。これは後方を走る馬にとっては顔に砂がかかるため、騎手はゴーグルが必須になるほどです。
また、ダートコースは天候の影響を受けにくいという特徴もあります。芝は雨が降ると芝生自体が傷みますが、ダートは砂なので基本的には傷みません。ただし、水分を含むことで走りやすさは大きく変わります。この点については後ほど詳しく説明しますね。
現在では、JRA(日本中央競馬会)の全10競馬場すべてにダートコースが設置されており、地方競馬に至っては多くの競馬場がダートコースのみで運営されています(盛岡競馬場にのみ芝コースがある)。つまり、日本競馬全体で見ると、実はダートレースの方が圧倒的に多いんです。
1-2. 芝コースとの決定的な違い
芝コースとダートコースでは、求められる能力がまったく異なります。最大の違いは「スピード重視かパワー重視か」という点です。
芝コースは、イメージとしては陸上競技のトラックに近いですね。硬くて滑らかな表面を、スピードに乗って駆け抜けます。一方、ダートコースは砂に脚が取られるため、その砂を蹴り上げて前に進むパワーが不可欠です。人間で例えるなら、芝は100m走のスプリンター、ダートは砂浜を走るビーチフラッグの選手といったところでしょうか。
このため、芝で強い馬がダートで走るとまったく走らない、あるいはその逆も頻繁に起こります。
血統的にも、芝向きの血統とダート向きの血統が明確に分かれているんですよ。例えば、サンデーサイレンス系は芝で圧倒的な強さを誇りますが、ダートで活躍するのは少数です。逆に、「ミスタープロスペクター系」や「ボールドルーラー系」などはダートで高い適性を示します。
馬体的な違いも顕著です。芝で活躍する馬は、スラッとした体型でしなやかな脚さばきを持つことが多いのに対し、ダート馬は筋肉質でがっしりした体格の馬が多い傾向にあります。特に牡馬はパワーで勝負できるため、ダートでは牝馬より有利とされています。
馬場の管理方法も大きく異なります。芝コースは植物ですから、開催が進むにつれて芝が傷み、馬場状態が変化していきます。一方、ダートコースは毎レース後にハロー(整地機械)で均すことで、常に均一な状態を保つことができるんです。
1-3. なぜダートレースが存在するのか
ダートコースが日本に導入されたのは1961年、昭和36年のことです。では、なぜわざわざ砂のコースを作ったのでしょうか?
最大の理由は「芝コースの保護」でした。当時、年間を通じて競馬を開催するには、芝コースだけでは管理が追いつかなかったんです。特に冬季は芝の生育が悪く、頻繁にレースを行うと芝が傷んでしまいます。そこで、アメリカの競馬を参考にダートコースが導入されました。
ただし、アメリカと日本では気候条件が大きく異なります。アメリカのダートは「土」主体で、カラッとした気候に適していました。しかし、雨の多い日本では土主体のダートは水はけが悪く、すぐに使用に耐えなくなってしまったんです。そこで日本独自の進化を遂げ、「砂」主体のダートコースが生まれました。
この日本型ダートは、馬の脚部への負担が少ないという大きなメリットがあります。芝やアメリカの土ダートと比べて、クッション性が高く、怪我のリスクを減らせるんですね。ベテラン馬や故障明けの馬がダートに転向するケースが多いのは、このためです。
また、競馬の多様性という観点も重要です。芝とダート、それぞれに適性の異なる馬が活躍できることで、より多くの馬にチャンスが生まれます。近年ではダート重賞も充実し、2月の「フェブラリーステークス」や12月の「チャンピオンズカップ」をはじめ、ダート路線だけで年間を通じたストーリーが展開されるようになりました。
地方競馬においては、ダートコースは経済的な理由からも重要です。芝コースの維持には高度な技術と多大なコストがかかりますが、ダートコースは比較的管理が容易で、コストも抑えられます。そのため、地方競馬の多くはダートコースのみで運営されているんですよ。
2. ダートコースの構造を徹底解説
ダートコースは、ただ砂を敷いただけの単純な構造ではありません。
馬が安全に、そして最高のパフォーマンスを発揮できるよう、緻密に設計された三層構造になっているんです。表面に見えている砂は「クッション砂」と呼ばれる層で、その下にはさらに2つの層が隠れています。これらの層がそれぞれ異なる役割を果たし、理想的な馬場を作り上げています。
ここでは、各層の構造と役割について、専門的な内容も含めて詳しく見ていきましょう。初心者の方は、「ケーキのように何層にもなっているんだな」とイメージしてもらえればOKです。
2-1. 路盤(ろばん)とは何か
「路盤」という言葉を初めて聞く方も多いと思いますが、これはダートコースの「土台部分」を指す専門用語です。道路でいえば、アスファルトの下にある基礎部分と同じですね。
JRAのダートコースの路盤は、二層構造になっています。まず、一番下には「下層路盤(かそうろばん)」として、砕石(さいせき)が約15cmの厚さで敷かれています。砕石とは、岩を砕いた石のことで、粒の大きさが比較的揃った単粒砕石が使われます。この層の最大の役割は「排水」です。雨が降った時、水がここを通って地中に染み込んでいくんですよ。
その上には「上層路盤(じょうそうろばん)」として、山砂が約10cmの厚さで敷かれています。山砂は文字通り、山から採取された砂のことです。この層は、下の砕石層と、表面のクッション砂の中間的な役割を果たします。クッション砂だけでは薄すぎて、馬が走った時の衝撃を吸収しきれません。上層路盤があることで、適度なクッション性と安定性が生まれるんです。
路盤の硬さは、ダートコースの「走りやすさ」を左右する重要な要素です。路盤が硬すぎると、馬の脚への負担が大きくなり、怪我のリスクが高まります。逆に柔らかすぎると、砂に脚が取られて時計がかかる(遅くなる)馬場になってしまいます。
実は、この路盤部分は各競馬場で微妙に異なっています。使用する山砂の産地が違ったり、砕石の種類が違ったりするんです。JRAの公式発表では「クッション砂は全競馬場で統一」とされていますが、路盤の違いが馬場の個性を生んでいると考えられています。
開催が進むと、500kg近い馬が何度も走ることで、路盤は徐々に硬くなったり、凸凹ができたりします。そのため、開催終了後には路盤の整備も含めた大規模なメンテナンスが行われるんですよ。
2-2. クッション砂層の役割
クッション砂は、ダートコースの「顔」とも言える最も重要な層です。厚さはわずか約9cm。たった9cmですが、この層がダートコースのすべてを決定すると言っても過言ではありません。
この層の最大の役割は、その名の通り「クッション性」の提供です。馬が走る時、蹄が地面に着地する瞬間には、馬の体重の何倍もの衝撃が脚にかかります。クッション砂は、この衝撃を吸収して馬の脚を守る、いわば「緩衝材」の役割を果たしているんです。
クッション砂が薄すぎると、直接下の硬い路盤を踏むことになり、馬の脚への負担が激増します。研究の結果、9cmという厚さが、クッション性と走りやすさのバランスが最も良いことがわかり、2009年からJRAの全競馬場で統一されました。
使用される砂には、厳しい基準が設けられています。まず、粒の大きさは最大2mm以下であること。これより大きいと石のようになってしまい、キックバックで他の馬や騎手に当たった時に危険だからです。また、砂の粒は丸く均一である必要があります。角ばった砂だと、踏んだ時に砕けやすく、すぐに細かい粉になってしまうんですよ。
さらに、シルト・粘土分(0.075mm以下の細かい泥分)が1%以下という基準もあります。細かい粒子が多いと、乾燥時には埃が立ちやすくなり、雨天時には騎手のゴーグルに付着して視認性が悪化するためです。
JRAでは、全競馬場で青森県産の砂をベース砂として使用しています。特に青森県六ヶ所村の海砂は、これらの基準を満たす高品質な砂として知られているんです。まるで甲子園球場の砂のように、競馬場の砂にも「聖地」があるんですね。
2-3. 表層砂の特性と管理
表層砂(クッション砂)は、生き物のように常に変化しています。レース中に馬が走ると、砂の粒同士がぶつかり合って徐々に細かく割れていくんです。これを「細粒化」と言います。
開催初日の砂は比較的粒が大きく、蹄が砂にしっかり食い込みます。そのため、開催初週はやや時計がかかる傾向があります。しかし、開催が進むにつれて砂が細粒化すると、蹄の引っかかりが良くなり、砂抜き(砂から脚を引き抜く動作)も楽になります。その結果、徐々に時計が速くなっていく傾向が強いんですよ。
ただし、細粒化が進みすぎると問題が起こります。砂が細かくなりすぎると、ダートコースの特徴であるクッション性が失われてしまいます。また、細かい埃となって騎手のゴーグルや馬の目に入りやすくなり、安全性が低下するんです。
そのため、JRAでは各競馬場で年に1回、「砂洗浄作業」を実施しています。これは、古い砂を洗浄プラントに通して細かい粒子を除去し、適正な状態に戻す作業です。必要に応じて新しい砂を補充することもあります。この作業によって、常に高品質な馬場状態が保たれているんですよ。
レース間の管理も重要です。各レースの後には、必ずハロー(整地機械)で馬場を均します。これによって、馬が走って掘り返された砂が平らになり、次のレースに備えます。ハローのかけ方ひとつで馬場状態が変わることもあるため、馬場担当者の技術と経験が問われる作業なんです。
また、冬季には特別な管理が必要になります。気温が下がると馬場が凍結する恐れがあるため、散水ができません。その代わりに「凍結防止剤」を散布します。これは主に塩化ナトリウム(塩)などから成る薬剤で、凍結を防ぐと同時に、砂に保湿性を与えます。ただし、凍結防止剤を撒いた馬場は、時計がかかる傾向があるんですよ。

3. 競馬場ごとに異なるダートの「個性」
「JRAのダートは全競馬場で統一されている」と前述いたしましたが、実際に各競馬場のレースを見比べてみると、明らかに「個性」があることに気づきます。東京競馬場のダートは時計が出やすく、中山競馬場のダートは時計がかかる…といった傾向があるんです。
なぜでしょうか?実は、クッション砂は統一されていても、砂の配合、水分量、そして路盤の違い、コースの形状などによって、各競馬場のダートには独自の特徴が生まれているんですよ。ここでは、競馬場ごとのダートの違いを深く掘り下げていきます。これを理解すれば、馬券予想の精度がぐっと上がること間違いなしです。
3-1. 砂の種類と配合の違い
JRAでは、全競馬場で青森県産の砂をベース砂として使用していますが、実はそこに各競馬場ごとに異なる産地の砂をブレンドしているんです。このブレンド比率が、競馬場の個性を生み出す大きな要因になっています。
例えば、東京競馬場では青森県産に加えて新潟県産や宮城県産の砂を混ぜています。新潟県産の砂は黒い粒が多く、粒の大きさが粗めという特徴があります。一方、中山競馬場では宮崎県産の砂が混ぜられており、こちらは細目の粒がやや多いという特性があります。
阪神競馬場では福井県産の砂が使われており、やや茶色みがかった白色をしています。京都競馬場では愛知県産とオーストラリアのアルバニー産の砂がブレンドされていて、灰色みがかった白色になっています。このように、砂の色を見るだけでも競馬場の違いがわかるんですよ。
砂の粒度(粒の大きさ)は、走りやすさに直結します。粒が粗い砂は、蹄が食い込みやすく、パワーが必要な馬場になります。逆に、粒が細かい砂は足抜けが良く、スピードが活きる馬場になりやすいんです。
ブレンドする砂が異なることで、競馬場ごとにクッション砂の色味は変わりますが、JRAによれば「クッション性に違いはない」とされています。しかし、実際の競走タイムを分析すると、確かに違いがあるように感じられます。これは、砂の配合だけでなく、後述する水分量や路盤の違いも影響していると考えられます。
地方競馬では、さらに多様な砂が使われています。大井競馬場や船橋競馬場などでは、西オーストラリア州アルバニー産の海砂が使用されています。笠松競馬場や金沢競馬場では愛知県瀬戸市の山砂が使われるなど、各競馬場の特色が強く出ているんですよ。
3-2. 水分量が走りやすさを左右する
ダートコースの走りやすさを左右する最大の要因が「水分量」です。同じ競馬場でも、水分量によってまったく違う馬場に変化するんですよ。
水分量と馬場の関係を理解するには、砂と水の関係を知る必要があります。乾燥した砂は、粒がバラバラの状態です。この状態では馬の蹄が砂に深く沈み込み、砂を蹴る時にも大きな力が必要になります。つまり、パワーが求められる馬場になります。
少し水分を含むと、砂の粒同士が水の表面張力で軽く結びつきます。この状態が適度な「締まり」を生み、最も走りやすい馬場になるんです。蹄が適度に食い込み、しかし砂抜きは比較的楽になります。
さらに水分が増えると、砂は泥に近い状態になります。この状態では、砂のクッション性がほとんどなくなり、直接下の硬い路盤を踏むようになります。脚への負担は増えますが、砂抜きは非常に楽になるため、時計は速くなる傾向があります。スピードタイプの馬が有利になるのが、この状態です。
JRAでは、含水率(水分の割合)を定期的に計測しています。競馬開催日には、馬場担当者がコースを歩いて、足に伝わる感触を確認します。また、赤外線水分計でゴール前や各コーナーの含水率を測定し、総合的に判断して馬場状態を発表するんですよ。
興味深いのは、馬場状態の発表は、必ずしも含水率だけで決まるわけではないという点です。同じ含水率でも、砂の粒度や路盤の状態によって、実際の走りやすさは変わることがあります。だからこそ、馬場担当者の「足で感じる」感覚が重要になるんです。
雨が降った直後は、表面だけが濡れて下は乾いているという状態になることもあります。この時、馬場の内側と外側で水分量が違うこともあるんです。競馬場には水はけを良くするために勾配(傾斜)が設けられており、雨で砂が低い方へ流れるため、内ラチ沿いの方が砂が厚く、水分も多くなりやすくなるという特徴があります。
3-3. 主要競馬場のダート特徴比較
それでは、JRAの主要競馬場のダート特徴を具体的に比較してみましょう。各競馬場の個性を知ることは、馬券予想に直結します。
- 東京競馬場
最も時計が出やすいダートとして知られています。直線が525.9mと長く、コーナーも緩やかなため、スピードを活かせる馬場設計になっています。砂質も比較的軽めで、足抜けが良いとされています。そのため、芝でも走れるようなスピードタイプの馬が好走しやすい傾向があります。 - 中山競馬場
東京とは対照的に、時計がかかる(遅くなる)馬場です。コーナーがきつく、直線も308.0mと短いため、瞬発力よりも持続力が求められます。砂質もやや重めとされており、典型的なダート馬、つまりパワータイプの馬が活躍しやすいんです。内枠有利の傾向も強く、枠順による有利不利が出やすい競馬場ですね。 - 阪神競馬場
バランス型のダートと言えます。直線は356.5mで、コーナーの形状も中庸です。時計も東京ほど速くなく、中山ほど遅くもない、ちょうど中間的な馬場です。そのため、様々なタイプの馬にチャンスがあり、予想が難しい競馬場でもあります。 - 京都競馬場
2023年に全面改修されて新しくなりました。直線は404.0mとやや長めで、時計は出やすい部類に入ります。改修前とは馬場の特性が変わった可能性もあり、まだデータが蓄積されていない段階ですね。 - 中京競馬場
東京に次いで時計が出やすい競馬場とされています。直線は412.5mあり、コーナーも比較的緩やかです。小回りではありますが、スピードが活きる馬場設計になっています。
地方競馬に目を向けると、大井競馬場は中央よりも砂厚が浅めで、さらに時計が出やすい傾向があります。川崎競馬場も同様です。一方、園田競馬場は砂がやや深く、パワーが要求される馬場として知られています。
これらの違いを理解しておくと、「この馬は東京では走るけど中山では苦しいかも」といった判断ができるようになります。同じダート馬でも、競馬場との相性があるんですよ。特に、スピードタイプかパワータイプかという適性の違いは、競馬場選びに大きく影響します。
4. ダートの状態が馬券に与える影響
ダートコースの状態を正しく理解することは、馬券予想において非常に重要です。
同じ馬、同じ競馬場でも、馬場状態が違えばまったく異なる結果になることも珍しくありません。「良馬場では勝てないのに、重馬場になると突然強くなる馬」なんていうのもいるんですよ。
ここでは、馬場状態の見方、時計の速い遅いが意味すること、そして天候とダートコンディションの関係について、馬券に直結する実践的な知識を解説していきます。これを理解すれば、レース前の馬場情報が、あなたの予想を助ける強力な武器になるはずです。
4-1. 馬場状態の見方(良・稍重・重・不良)
競馬を嗜んだことのある方ならば、馬場状態は、「良(りょう)」「稍重(ややおも)」「重(おも)」「不良(ふりょう)」の4段階で表示されることをご存じだと思います。これは馬場の湿潤度合い、つまり水分の多さを表しているんです。
「良」は、最も水分が少なく乾燥している状態です。砂がサラサラで、馬の蹄が深く沈み込みます。パワーが必要な馬場で、典型的なダート馬が力を発揮しやすい状態です。晴天が続いた時や、開催初日などによく見られます。
「稍重」は、良と重の中間で、やや湿っている状態です。砂に適度な締まりがあり、実は最も走りやすい馬場状態とも言われています。良馬場ほどパワーは必要なく、かといって重馬場ほど脚抜けが良すぎることもない、バランスの取れた状態です。
「重」は、かなり水分を含んだ状態です。砂のクッション性が薄れ、硬い路盤を直接踏むようになります。パワーよりもスピードが活きる馬場になり、良馬場とは求められる適性が変わってきます。芝でも走れるようなスピードタイプの馬が、ここで力を発揮することが多いんですよ。
「不良」は、最も水分が多い状態で、泥に近くなります。時計は最も速くなる傾向がありますが、馬への負担は大きくなります。持ち時計が速い馬、ピッチ走法(小刻みに脚を運ぶ走り方)の馬、蹄が小さめの馬が有利とされています。
重要なのは、「重や不良だから悪いコンディション」というわけではないということです。むしろ、重馬場や不良馬場を得意とする馬も多く存在します。逆に、良馬場専門の馬もいるんですよ。過去の成績を見る時は、必ず馬場状態もチェックすることが大切です。
また、馬場状態はレース中も変化することがあります。雨が止んで馬場が回復したり、逆に雨が強くなって悪化したりします。JRAでは、レース中も継続的に測定を行い、必要に応じて馬場状態の発表を変更します。大きなレース当日は、こまめに馬場情報をチェックすることをおすすめします。
4-2. 時計が速い・遅いとはどういうことか
競馬の世界でよく聞く「時計が速い」「時計が遅い(時計がかかる)」という表現。これは、レースにかかった時間のことを指しています。
例えば、ダート1200mを1分10秒で走ったとしましょう。別の日に同じ距離を1分12秒で走ったら、前者の方が「時計が速い」、後者は「時計が遅い(時計がかかった)」と表現します。2秒の差は、競馬の世界では非常に大きいんですよ。
なぜ同じ競馬場の同じ距離なのに時計が変わるのか?最大の要因は馬場状態です。乾燥した良馬場では、砂に脚が取られるため時計がかかります。一方、水分を含んだ重馬場や不良馬場では、砂が締まって脚抜けが良くなるため、時計が速くなる傾向があるんです。
ここで注意したいのは、「時計が速い=馬にとって楽」ではないということです。重馬場や不良馬場は時計が速く出ますが、硬い路盤を直接踏むため、馬の脚への負担は大きくなります。また、スピードを維持し続ける必要があるため、スタミナの消耗も激しいんです。
時計の速さは、レース展開にも影響します。時計が速い馬場では、ハイペースになりやすく、逃げ・先行馬が失速しやすくなります。逆に、時計がかかる馬場では、じっくりとしたペースになり、前に行った馬が粘り込みやすい傾向があります。
馬券予想では、過去の走破タイムを見る時に、必ず馬場状態も確認しましょう。良馬場で1分12秒と、不良馬場で1分10秒では、実は良馬場の方が優秀なタイムであることもあるんですよ。単純に数字だけで比較してはいけません。
また、「上がり3ハロン」(ゴール前600mのタイム)も重要な指標です。馬場が速い時は上がりの時計も速くなりますが、本当に末脚が使える馬かどうかを見極めるには、同じ馬場状態での比較が必要になります。
近年では、JRAが「馬場差」を公表するようになりました。基準となる平均タイムと比べて、今日の馬場が速いのか遅いのかを数値で示してくれるんです。これを活用すれば、より正確な予想ができるようになりますよ。
4-3. 天候とダートコンディションの関係
天気予報は、ダートの馬券予想において極めて重要な情報源です。天候が変われば、馬場状態が変わり、有利な馬も変わってくるからです。
晴天が続く場合は、馬場が乾燥して良馬場になります。開催が進むほど砂が細粒化して徐々に時計が速くなっていきますが、基本的にはパワータイプの馬が有利な状況が続きます。ただし、冬季は凍結防止剤の影響で、晴天でも馬場がやや重くなることがあります。
前日に雨が降った場合は、当日晴れていても馬場は稍重や重になることが多いです。表面は乾いていても、下の方に水分が残っているんですね。朝の時点で重馬場でも、日中の日差しで午後には稍重に回復することもあります。このような「馬場の回復」は、レース選択に大きく影響します。
レース当日に雨が降っている場合は、馬場状態が刻々と変化します。雨の降り始めは、表面だけが濡れて滑りやすくなります。雨が強くなると、馬場全体が水を含み、重や不良になっていきます。逆に、雨が止むと徐々に回復していきます。
興味深いのは、ダートは芝に比べて天候の影響を受けにくいという特徴があることです。芝は雨が降ると芝生自体が傷みますが、ダートは砂なので基本的には傷みません。そのため、「雨でも競馬ができる」というのがダートの大きなメリットなんですよ。
ただし、豪雨の場合は話が別です。あまりに水分が多すぎると、排水が追いつかず、馬場に水が溜まってしまうことがあります。このような極端な不良馬場では、レースの公正性が保てないと判断され、開催が中止になることもあります。
馬券を買う前には、必ず当日の天気予報と、過去の同馬場状態での成績をチェックしましょう。特に、「良馬場◎、重馬場×」のような明確な傾向を持つ馬は多いので、天候予報が馬券の的中率を大きく左右することもあるでしょう。
また、競馬場の地理的な位置も影響します。海沿いの競馬場は風が強く、砂が流れやすいという特徴があります。山に囲まれた競馬場は、雨が降りやすく、馬場の回復も遅い傾向があります。こうした細かい知識も、長く競馬を楽しんでいく中で身についていくものですよ。
5. まとめ(初心者向け)
ここまで、ダートコースの構造と路盤について、かなり詳しく解説してきました。初めて競馬を見る方には、少し専門的すぎる内容もあったかもしれませんね。でも大丈夫です。ここで、初心者の方向けに要点をまとめておきますので、まずはこれだけ覚えておいてください。
- ダートは「砂のコース」で、芝とは全く違う特性を持っています
- スピードよりパワーが重要で、がっしりした体格の馬が有利です
- 馬の脚への負担が少ないという大きなメリットがあります
- 三層構造になっていて、表面の「クッション砂」が最も重要です
- クッション砂は約9cmの厚さで、これが馬の脚を守っています
- その下には「上層路盤(山砂20cm)」と「下層路盤(砕石20cm)」があります
- 同じJRAでも、競馬場によって砂の配合が違います
- 東京は時計が出やすい(速い)、中山は時計がかかる(遅い)など、個性があります
- この違いを知ることが、馬券予想の精度向上につながります
- 「良・稍重・重・不良」の4段階で、水分の多さを表しています
- 乾燥した良馬場はパワータイプ、湿った重・不良馬場はスピードタイプが有利です
- 馬場状態によって、同じ馬でも走りが全く変わることがあります
- 過去の成績を見る時は、必ず馬場状態もチェックしましょう
- 天気予報を確認して、当日の馬場状態を予想しましょう
- 競馬場との相性(東京が得意、中山が苦手など)を見極めましょう
ダートレースは、芝レースとは違った面白さがあります。パワフルな走りを見せる馬たち、砂を蹴り上げる迫力のレース展開。そして、馬場状態によって結果が大きく変わるという予想の難しさと楽しさ。
最初は難しく感じるかもしれませんが、何度もレースを見て、馬場状態と結果の関係を観察していくうちに、だんだんと「この馬場ならこの馬が来そうだ」という感覚が身についてきます。
競馬は長く楽しめる趣味です。焦らず、少しずつダートコースの特性を理解していってくださいね。そして、この記事で学んだ知識が、あなたの馬券的中に少しでも役立てば、これほど嬉しいことはありません。
ダートコースの奥深い世界を、ぜひ楽しんでください!
